これまで、親御様からたくさんの親なきあとのご不安やお悩みをお聞きする中で、「自分がいなくなった後、わが子は誰にお願いできるのだろう」「わが子を大切にしてくださる方に出会いたい・・・」という切実なお声をお聞きしてきました。
成年後見制度は、判断能力が不十分なすべての方が利用しないといけないという制度ではなく、もちろんご家族等でサポ―トが可能な方がいらっしゃる場合(例えば、障がいのある方をそのごきょうだい児の方がサポートできる場合)等、今すぐには利用が必要ではない方もいらっしゃいます。
ただ最近は少子化や核家族化等のため、頼れる身内や親族がいらっしゃらない方も多くなっています。またきょうだい児の方がいらしても、「自分が、この障がいのあるきょうだいを一生面倒見続けないといけないのだろうか…」というご不安をきょうだい児の方ご自身がお持ちだったり、「きょうだい児にはきょうだい児の自分の人生や仕事・家族があるため、障がいのある子のサポートでできるだけ負担をかけたくない……」と考えられるご家族のお声もたくさんお聞きしています。
しかしながら、それでは成年後見制度を使うとなると、ご本人やご家族様の中には成年後見制度に対し、様々なご不安をお持ちである方が多くいらっしゃることにご相談の中で気が付きました。
成年後見制度自体は、ご本人の権利や生活を守ることができる制度ではあるのですが、使い勝手が悪い部分があることも確かです。※
そこで、法人後見センターでは、障がいのある方とそのご家族を対象とした、「障がいがある方とご家族のための特化型法人後見」として、そのご不安を安心に変えられる法人後見の仕組みづくりを実践していきます。
※国では令和4年度から令和8年度を「第二期計画期間」として、成年後見制度を誰もがより使いやすく、安心な制度にするための検討がなされています。
後見センターはちどりは、障がいのある方やご家族の親亡き後の不安を安心に変えたいと、親亡き後大切な家族を託せる後見人等の候補者がいない方のため、「顔が見える、地域に根差した成年後見人等の受け皿」となるべく開設しました。障がいのある方のご家族をはじめとし、当法人の活動に共感してくださる方等に応援団となっていただき、ご本人やご家族が自分らしく地域で暮らせるよう、皆で作る法人後見です。ご家族様には応援団会員となって、法人の活動にも関わっていただきながら、いざ、ご自身やご家族が利用したいという時には、後見人候補者として当法人を選んでいただくことも可能です。
※当法人の法人後見を利用するには、原則としてご家族またはご本人が当法人のはちどり応援団メンバー(サポーター会員)であることが必要となります。また、後見制度の利用の際には、家庭裁判所への成年後見等開始申立や公証役場での任意後見契約等の手続きが別途必要となります。
成年後見センターはちどりの法人後見は、実際には、ご本人のサポートチームとして2~3名の数名のメンバーが担当することになります。単にご本人の「好き・嫌い」だけでサポートメンバーを頻繁に変えることはできませんが、どうしても相性が合わずに、ご本人にとって良い支援ができないような状態であれば、サポートメンバーの交替ができないわけではないのでご安心ください。当法人の法人後見制度の利用を希望され、実際に後見人とならせていただく際には、サポートメンバーとして、どのような方を希望されるか、ご本人等に聞き取りをさせていただき、できる限りとはなりますが、ご希望に近い方をメンバーとしてサポートさせていただくことを考えています。
後見センターはちどりは、数名のチームでご本人のサポートを行います。当法人が成年後見人等になることを希望され、実際に後見人等として支援をする場合は事前にチームメンバーのご希望もお聞きしますので、たとえば「わが家のように、障がいのある方がいる親御さんをチームメンバーの中に希望する」「わが子にはこのような障がいがあるため福祉の専門家にチームに入ってほしい」等ご希望をお知らせ下さい。(原則として、チームメンバーには、当法人の指定する一定の研修を修了した障がいのある方の親やご家族等に入っていただくことを考えています。)
当法人の法人後見は、応援団となってくださる親御様の中で、可能な方は、お元気で関わっていただける間はご自身のお子様のチームメンバーの一人(主担当・支援員)として活動していただくことも可能です。チームメンバーとして関わる中で、ほかのメンバーに情報や希望をお伝えいただければ、ご本人にとっても、親亡き後も切れ目ない支援ができると考えています。また、ご家族がチームメンバーに入られることで事実上、ご本人が負担する成年後見人等の報酬を少し軽くすることも可能となります。(詳細は別途当法人までお問い合わせください。)
もちろん、親御様等ご家族が認知症等で支援が必要な場合の当法人の法人後見の利用も可能です。そのようなご希望がおありであれば事前にお知らせいただければ、利用のタイミングなどを一緒にご検討させていただきます。
※ご家族(子やきょうだい・親)以外の方の後見人業務の一部を担っていただく「はちどり主担当(リーダー)」「はちどり支援員(サブ)」にご登録いただくためには、はちどり応援団メンバー(サポーター会員)であることのほか、研修受講等一定の条件が必要となります。詳細は当法人までお問合せください。
ご本人のご家族様後見人が、家庭裁判所の監督や指導を受けながら、慣れない手続きや書類の作成に奮闘し、同時に、自分なき後の未来に不安を感じながらも、日々の忙しさで、それらの不安をただ抱え込むしかない現状や、反対に、裁判所が選任した士業等の専門職後見人がいる場合で、その後見人に任せきりにするほかないなかでご本人やご家族が蚊帳の外に置かれているように感じ、結果としてやはり将来の不安が払拭されない…という現状を抱えておられたりしている方も少なくはないため、当法人はこのような不安を払拭したいと考えています。
当法人の後見は、後見という制度を利用しつつ、ときには、法人外部の方の協力を得て後見等の業務の枠に限定せずに、ご本人様やそのご家族を中心に、 必要な支援が続く仕組みやチーム作りをし、ご本人やご家族様が孤立して、不安を抱え込んでしまうような状況は解消したいと考えています。そのため、当法人では、法人内で、障がいや生きづらさがある方のご家族のご意向をお聞きしつつ、同じ立場のご家族や、地域住民の方(市民後見人)、法律・福祉の専門職等、複数名がチーム(はちどり主担当(1名)・はちどり支援員(ケースにより1~2名))となってご本人を担当することで、一人の担当者が病気や死亡等の理由で本人の支援ができなくなったような場合も残る担当者と新たな担当者で支援を継続することで、ご本人にとって途切れない支援ができ、障がいのある方とご家族が安心して暮らせる未来の実現をめざします。
当法人では、障がいがある方のご家族等で、積極的に関わっていただける方には(一定の研修を受けたうえで)、他のご家族の支援員などとして当法人の法人後見で活動いただきます。そうして、お互いに支え合い、また実際に後見業務に関わる様々な立場の方からの「もっとこういうサポートができないか」という意見を取り入れ化学反応を起こしながら、未来へ続く法人後見の仕組みづくりを行います。